2012年1月21日土曜日

ミラーレス一眼について

2012年1月21日

カメラの話。

ここ数年、ミラーレス一眼の人気があり、色々な機種が出そろってきました。最近の機種はコンパクトカメラ寄りのエントリー機と、高級感を持たせたハイエンド機という具合に、二分化してきたように見えます。


Panasonicは、2008年秋にEVF(液晶ビューファインダー)搭載機のLUMIX DMC-G1を発売し、後継機はG2を経て、現在のG3に至っています。G10のような廉価版の他に、上位派生としてDMC-GH1、GH2が発売されました。


EVFの無いタイプでは、DMC-GF1を皮切りに、GF2、GF3と続いています。上位派生として、DMC-GX1というモデルが2011年11月に発売されました。


Olympus は、2009年の夏にノスタルジックなデザインに往年のPENの名を冠した、PEN E-P1を発売して人気を博しました。そこからエントリー向けに、ライト(E-PL)シリーズを発売し、2011年の秋には、さらに下位のミニ(EP-M1)を発売しています。ラインアップは下位側に派生してきています。


以上は、マイクロフォーサーズ陣営です。マイクロフォーサーズ以外にも、SONY NEXシリーズ、PENTAX Q、Nikon 1シリーズ・・・と各社ミラーレス機に参入してきています。


●ミラーがある一眼レフと比べてミラーレスの長所は?


1.ボディやレンズを小型にできる。
2.ライブビューが有利。
3.フランジバックが短い。(後述します。)


・・・ということだと思います。


ライブビューでは、バリアングル(可動式)モニタによる、ローアングル撮影や、ハイアングルの撮影が容易になります。また、マニュアルフォーカス時には、ピント位置の拡大表示が出来て非常に便利です。下記のような使用例は、光学ファインダーより断然有利といえます。


Panasonic Lumix GH1
バリアングルモニタを使い、ピントあわせは、画面の
任意の場所を拡大してマニュアルで行うことが可能。

一眼レフタイプのカメラでも随分前からライブビューを取り入れていた機種もありましたが、構造上、ミラーを上げたり下げたり内部的にバタバタ動いたり、シャッターのタイムラグが大きい、バッテリーの消耗が激しいなど、ストレスを感じる事が多いです。



一眼レフタイプの場合、ミラーが上がっている間が、ミラーレスと同条件と言えます。しかしカメラの機種によっては、ミラーに透過式のものを使用して、ミラーを上げずにモニタするものがあったり、撮影用のセンサーとは別に、ライブビュー専用のセンサー用いて、実際に撮影される画像と異なるものをモニタするものもあります。


私個人の意見としては、一眼レフタイプでライブビューを行う・・・という事にメリットを感じません。構造上、ライブビューはミラーレスに任せる方が良いと思います。


一方一眼レフタイプは、光学ファインダーがしっかり出来ているものを選びたいです。これはフィルム時代からそうですが、軽量化や、コストダウンのため、多くのエントリー機が、ペンタプリズムでは無く、ペンタミラーを使用していたり、ファインダー視野率や、ファインダー倍率が小さいなど、ファインダー性能を犠牲にしているために厳密なピントあわせがしにくくなる可能性があります。さらにライブビューを入れるとなると、そもそもミラーや光学ファインダーは要らないのでは?と思ってしまいます。




●カメラの基本操作について


ミラーレスに限らず、カメラのおまかせモードに飽き足らない場合、自分で色々設定したくなるので、機能を呼び出す際に手間が少ないほうが良いです。

エントリー機の場合、大抵は機能系のボタンが少なく、メニューボタンからあれこれ項目を選択して十字キーや、ダイヤルで設定しなくてはならないため、操作が面倒になる場合が多いです。

カメラの基本操作として必要な機能は以下になります。どのカメラでも必要な機能なので、これらが使いやすくレイアウトされている事がカメラ選びの重要な要素だと思っています。

・撮影モード(露出に関するプログラムの選択)
・ドライブモード(連写や、セルフタイマーなどの選択)
・露出補正(明るさの自動補正を補う調整)
・ホワイトバランスの設定
・ストロボの設定
・AF方法の設定(動体予測などや、測距点の選択など)
・測光方式の設定
・ISO感度の設定

Panasonic LUMIX G1,G2,GH1,GH2あたりのEVF搭載機が従来のカメラの操作を踏襲しており、アナログ感があり、直感的に操作できるため好感が持てます。LUMIX G3になってから、GHシリーズと差別化するためか、初心者向けにシフトしたたため、操作系を端折りすぎた感じがします。タッチパネルをどう評価するかは、今のところはなんとも言えません。

OLYMPUS PENは、先述のPanasonicのEVF搭載機と比べ若干操作がしにくい印象を持っています。PanasonicのGFシリーズや、GX1と比較する必要があるかもしれません。



SONY NEXは独特でマニアックな操作を要求する印象があります。センサーサイズは、APS-Cサイズと大きい割りに、カメラのボディが小さいのが特徴です。一眼レフタイプで上位のアルファシリーズとの住み分けがありますので、エントリー機の位置付けでしょうが、スペックは高いです。



●センサーサイズについて
ちょっとこだわって写真を撮りたいなら、センサーサイズは、なるべく大きいものを選んだ方がが良いです。一番の理由は、背景のボケ味が大きいことだと思います。

背景をぼかした方が、主題が引き立ちます。反対にボケを減らして、ピントに奥行きを持たせたい場合は、絞りを絞り込めば良いです。ボケを大きくするためには、高価な大口径レンズや、望遠レンズ、マクロレンズを利用する必要がありますが、それ以前に大きなセンサーサイズを選ぶということも重要です。

背景のボケの大きさは、下記の条件で変わります。


1.焦点距離が短いレンズより、長いレンズの方がボケが大きい。(より望遠の方がボケが大きい。)


2.絞り込むより、絞りを開けた方がボケが大きい。


3.被写体に寄って撮影した方がボケが大きい。

センサーサイズが小さいと、同じ画角を得ようとした場合、焦点距離が短くなるため、同じ画角では、センサーサイズが大きいカメラよりボケが少なくなります。


ミラーレス機のセンサーサイズの比較は、以下のとおりです。
SONY NEX>マイクロフォーサーズ(パナソニック、オリンパス)> Nikon 1> Pentax Q

以下、マイクロフォーサーズ、APS-Cサイズ、フルサイズという順で、同じ画角と絞りで背景のボケ具合を比較してみましょう。



マイクロフォーサーズ 
35mm換算で50mm付近、絞りはf5.6

APS-Cサイズ
35mm換算で50mm付近、絞りはf5.6


35mmフルサイズ機
50mm 絞りはf5.6


以上の作例で、センサーサイズの大きさの違いによるボケ味の違いをお分かりいただけましたでしょうか。センサーサイズが小さいと、大口径レンズを使って絞りを開放にしても、かつてのフィルム一眼レフで得たようなボケ味は得られにくいのです。


●ミラーレスで魅力的なカメラは?


ボケ味はさておき、センサーサイズは、マイクロフォーサーズがちょうど良いと思います。


個人的には、Panasonic LUMIX GH2が興味深いです(GH1を愛用しています)。しかしGH2も発売から時間が経っているため、購入をするなら、後継機の登場を待ったほうが良いかもしれません。

シャッターを押すだけのカメラを考える場合、センサーサイズ云々は抜きにして、Nikon 1が良いと感じました。AF性能、連写性能が優れています。

レンズ交換式では無いものでは、高級コンパクトの部類になりますが、RICHO GRシリーズや、FUJI X10、X100も良いです。

●最後に


ミラーレス機の特徴として挙げた、フランジバックが短いということも触れておきましょう。フランジバックとは、撮像素子(フィルム)からレンズマウント面の距離ですが、これが短いということは、マウントアダプタ介してフランジバックを合わせてあげれば、往年の一眼レフレンズでもピント合わせができます。

※なお、絞りリングが無いレンズでは、絞りの操作ができませんので、絞りリングがある古いマニュアルフォーカス用のレンズが適します。


ミラーレス機の場合、液晶でモニタするため、開放F値が暗いレンズでもストレス無く使用できる点も大きな魅力です。

マイクロフォーサーズ用のアダプタは、サードパーティ製がほとんどですが、国内外含め色々なメーカーからでています。ピント合わせはもちろんマニュアルになります。フィルム時代からの一眼レフユーザーの場合、このあたりにミラーレスの付加価値を見出している方も多いのではないでしょうか。





Olympus E-PL1  + Leitz Elmar f=5cm 1:3.5



 


Panasonic Lumix G1 + Canon TS35mm/2.8


メーカーには、EVF搭載機で、操作系のしっかりした、堅牢なミラーレス機を作って欲しいです。

(おわり)


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