2013年11月8日金曜日

ソニーα7(フルサイズミラーレス)について

久しぶりにカメラの事を書きます。

この秋、カメラ関連のニュースで、私が一番気になったのは、来週ソニーから発売されるα7、α7Rの事です。

35mmフルサイズセンサー搭載のミラーレス一眼で、キャッチコピーには、「誰も作らなかったカメラ。」とあります。ちなみに35mmフルサイズというのは、フイルム時代の所謂ライカ判(24mm×36mm)と同等サイズの撮像素子の事です。

私にはこの「誰も作らなかった・・・」というキャッチコピーが、キヤノンやニコンに向けられているように思いました。キヤノンやニコンは、フルサイズミラーレスを作らない…と私は考えているからです。(そのあたりは追って考察していきます。)

ソニーはこれを機に、αシリーズとNEXシリーズをαブランドに統合するそうです。一眼レフタイプのαシリーズは、ミノルタ時代を含めますと、1985年から続くAマウントを採用したシステムです。一方のNEXシリーズは、3年前に登場したばかりの、APS-Cサイズのミラーレスに付けられた名称で、専用のEマウントが用意されました。

今回のα7とα7Rは、αという名称を持ちながら、Eマウントが採用されたわけですが、レンズはフルサイズ用に仕立て直しが必要になりました。

αブランドへの統合(つまりNEX名称の消滅)後も、AマウントとEマウントを共存させるわけですが、両者にフルサイズ対応レンズと、APS-Cサイズ専用レンズの2種ずつ存在することになったため、ボディとレンズの組み合わせは今までより複雑になりました

表にまとめてみましたが、多分下記のような組み合わせで適合すると思います。



ソニーαシリーズのレンズ組み合わせ表



上記表の黄色部分は、フルサイズで撮影できる組み合わせで、橙色部分はAPS-Cサイズになる組み合わせです。

仮にソニーが今後APS-Cサイズを止めてフルサイズに統一した場合、上記表の橙色部分が消えて、「×」が一か所のみになるため、スッキリすると思うのは私だけでしょうか。

いずれにしても私の推測では、Eマウントのフルサイズミラーレスが登場したことにより、Aマウントが急速に廃れると考えています。フォーサーズ陣営が、センサーサイズを変えずにマイクロフォーサーズという新しいマウントでミラーレス化を推進した結果、ミラーありのフォーサーズマウントが衰退した事は記憶に新しいです。

現時点で、ソニーがフルサイズミラーレス一本化のシナリオを用意しているかはわかりませんが、市場の動向も含め、今後どのような展開になるか注目していきたいです。

さてフルサイズミラーレスのαですが、最上位機種のα7Rは、光学ローパスフィルターレスの約3,640万画素CMOSセンサー搭載というハイスペックなカメラになっています(α7は約2,430万画素)。ここまでくると高画素化はどこまで進むのやら…とため息が出てしまいます。紙に出力する事が最終目的でしたら1,000万画素程度でも十分役目を果たすと思うのですが、家電メーカーのソニーとしては、今後4Kテレビや8Kテレビを普及させたい思惑があるでしょうから、8Kテレビの解像度を見据えた3,000万画素クラスを一つの到達点と考えているかもしれません。

フルサイズで高画素、というだけでも十分魅力があるのですが、Eマウントなので、サードパーティー製のマウントアダプタ(※)を併用することにより、ライカのレンズや、各社一眼レフ用レンズをフルサイズで使えるはずですので、フイルム時代のレンズを持て余しているカメラファンにとっては、かなり楽しめるカメラになると思います。

(※)NEX時代のEマウント用アダプタは、フルサイズに対応していない可能性があるため、注意が必要です。


さて、ここからはαの話題から外れます。

先に書きましたが、私はキヤノンとニコンはフルサイズミラーレスを作らないと考えています。このブログを書いている間にも、ニコンがDfという妙なカメラを発表しましたが、やはりミラーレスではありませんでした。

仮にキヤノンとニコンがフルサイズミラーレスを作った場合、これから記す表のように、2社ともかなりいびつな構成になることがわかります。

まずはキヤノンでシミュレートしてみます。

キヤノンがフルサイズミラーレスを作った場合


現状のキヤノンですが、フルサイズのカメラに、APS-C用のEF-Sレンズを使用することはできません。フルサイズユーザーは下位のAPS-C用レンズを使う必要は無いという思想なのだと思います。仮にフルサイズミラーレスが登場した場合でも、APS-C用のレンズを使用不能にする可能性が高いので、上記表のように、ソニーの例よりも「×」が増えて、取り込めるユーザーが少なくなりそうです。

また、ソニーEマウントのように、既存のAPS-CサイズのEF-Mマウントをフルサイズ用に流用できるかは不明ですので、流用出来ない場合、新たにフルサイズミラーレス用のマウントを用意する事は難しいと思われます。ミラーレスの場合、フランジバックが短い専用レンズが必要でしょうから、EFマウントを採用することもあり得ないので、キヤノンからフルサイズミラーレスは出ない、というのが私の考えです。

次はニコンをシミュレートしてみます。

ニコンがフルサイズミラーレスを作った場合

ニコンの場合、フルサイズのFXフォーマットと、APS-CサイズのDXフォーマットは、マウントが共通ですので互換性があります。ただしカメラ、レンズ共にFXの組み合わせの時だけフルサイズになり、それ以外の場合はAPS-Cサイズになります。ニコンのこれらのマウントは「不変のFマウント」と呼ばれており、1959年のニコンFから同じ寸法のマウントを採用し続けています。しかし2011年に発売されたミラーレスのNikon1シリーズには、Fマウントとは別の小型マウントが用意されて、Nikon1専用のレンズをFマウントのカメラに装着出来ない仕様にしたのです。

仮にニコンがフルサイズミラーレスを作る場合、フランジバックの短い専用レンズを用意しても、Fマウントのカメラと互換性が無くなってしまうため、それらのフルサイズ用レンズに“FXフォーマット用”という名称を与えることはできません。


同様の理由で、Nikon1を作る際にAPS-Cサイズ(DXフォーマット)を採用できず、CXフォーマットという、新しいフォーマットを作ったのだと思います。APS-Cサイズを採用すれば、FマウントのDXフォーマットユーザーは混乱するため、そのような事態を回避する必要があったわけです。

そうなると、不変のFマウントを維持するために、一眼レフと同じフランジバックで、ミラーが無いだけのFXミラーレスを作れば良い。という案もあるかもしれませんが、そのようなカメラは一眼レフそのものを否定する事になりかねないので、多分作られることは無いでしょう。

そのようなカメラを作るくらいなら、往年のレンジファインダーカメラのデザインをベースにした趣味性の強いミラーレスを出した方が理にかなっていますし、喜ぶ人も多いのでは無いでしょうか。

長々と書いてきましたが、キヤノンとニコンには一眼レフで頑張ってもらうとして、今後、各社いろいろな形でフルサイズのデジカメを増やして欲しいです。そしてフルサイズのデジカメには、デジカメ黎明期の負の遺産とも言えるAPS-Cサイズを駆逐して欲しいのです。(私はAPSフイルムが嫌いだったせいもあり、APS-Cサイズのセンサーを好きになれません。)

あとパナソニックらマイクロフォーサーズ陣営が、フルサイズミラーレスの統一規格を提唱して、ソニーに対抗する…みたいな家電メーカー伝統の一戦を見てみたいです(笑)
おわり



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