2015年12月5日土曜日

Stahlwille(スタビレー)のOpen Ratchについて

今回は工具の事を書きます。

私はドイツのスタビレーというメーカーの工具を愛用しています。
スタビレーとの出会いは20年程前、西武新宿線の東伏見にあった阿部工具へ行った時でした。当時、阿部工具の店主がスナップオンの工場を見学に行った時に、そこで使われていた工具がスタビレーだったという話をしてくれて、それ以来スタビレーに対して特別な思いを抱くようになりました。阿部工具はとうに無くなってしまっているので、今となってはそのエピソードが本当かどうか知る由もないですが…(笑)

ちなみにスナップオンはアメリカのメーカーで当時、KTCやKo-kenなど日本製工具の4倍、ハゼットやスタビレー、ファコムなどヨーロッパ製工具の2倍程の価格で、強いブランド力をもつ憧れのメーカーでした。それと比較するとドイツの工具は質実剛健で見た目の華やかさにかけるためか、あまり人気が無いようでした。特にスタビレーは今でも日本のマーケットで成功しているようには見えません。

私はコンビネーションレンチやソケット類をスタビレーで揃え、それ以外もヨーロッパの工具を中心に揃えました。ドライバーや六角レンチはスイスのPBやドイツのWera、ペンチやプライヤーなどの挟み物はドイツのクニペックス、モンキーレンチはスウェーデンのバーコ…という具合です。

さて、今回久しぶりにスタビレーの工具をネットで見ていたら、目に留まったのがラチェットコンビネーションレンチでした。何件か工具店を見てまわりましたが、店頭になかったので楽天で一本だけ買ってみました。


Stahlwille Open Ratch

ラチェットコンビネーションレンチという工具はコンビネーションレンチのメガネ側にラチェット機構を組み込んだものです。この手の工具はかなり昔からあるのですが、ホームセンターで売られている安価な工具のイメージが強かったり、ラチェット部分が大きくて野暮ったいデザインだったりしたため、いまひとつ本気で使う気がしないものばかりでした。

しかし8〜9年くらい前からでしょうか。ラチェット部分の小型化が進み、日本のKTCをはじめ、ドイツのハゼットなど一流メーカーから洗練されたものがラインナップされるようになりました。私はその頃にハゼットや日本のトップ工業のものなどをいくつか手に入れましたが、これはこれでソケットツールとは違うシーンで活躍してくれるので、非常に使いやすい工具だということに気づかされました。

今回購入したスタビレーのラチェットコンビネーション『Open Ratch』ですが、手にした時の感触はまさにスタビレー。梨地仕上げとひとくくりにされてしまいがちですが、一般的な工具のざらっとした梨地仕上げよりもスタビレーのそれは滑らかで独特な感じです。ラチェットの切り替えレバーも他のメーカーとは異なりボタン状のものになっています。

しかし手にとってしばらく眺めて、スタビレーの普通のコンビネーションレンチと比較してみたときに、「あれれ?」と思うことが二つありました。

一つ目は、"Made in Germany"の刻印がないこと。
二つ目は、オープン側のあごのオフセット位置が、スタビレーの特徴を備えていないこと。

一つ目のドイツ製の刻印がない点については、以前買ったハゼットのものも改めて見てびっくり。こちらにも無いではありませんか!今まで気がつきませんでした。きっとラチェット部分は台湾製とかだったりするんでしょうかね。

もっといただけないのは二つ目の特徴で、これではスタビレーとは別物になってしまっています。

そんなわけで細かく見ると残念な点もありますが、触った感じはスタビレーそのものですし使用感も悪くありません。これから良質なラチェットコンビネーションレンチを購入しようと考えている方は、ハゼットやKTCなどと比較してお好みのものを選ぶと良いと思います。


長さはコンビネーションレンチOpen Box 14シリーズ(下)と同じくらい

なぜかOpen Ratch(上)には、裏に"MADE IN GERMANY"の刻印が無い

ハゼットのラチェットコンビネーションレンチと通常のコンビネーションレンチを比較。見た目はほぼ同じ。

しかしハゼットのラチェットコンビネーションレンチにも"GERMANY"の文字が無い

こちらは2007年のスタビレーのカタログから。
一般的なスパナ(左)と、スタビレーのスパナ(右)の形状の違いを説明する図

左がスタビレーのOpen Box 14シリーズで右がOpen Ratch。
なぜか後者はスタビレーのスパナの特徴を備えていない。


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